予定日が近いということと夜間は不在になるということもあり、何かあっても心配がないよう ヨメは車で15分ほどの距離にある実家に戻っていた。
いつも通り仕事に出ていて、日付が変わる頃に休憩時間となり何気なく携帯電話を見るとヨメから「産みに行ってくる」との知らせが届いていた。
同じく休憩中の同僚や上司へそのことを伝えたところ「すぐに行ってやりなさい」と間髪入れずに早退を促されたので、遠慮なく職場を後にした。
送迎バスはあるのだけれど利用せず、マイカー通勤の許可を得ていたので高速道路を使って病院へ。
病院の中に入るが玄関も受付も無人で真っ暗。
「すいませーん」と声を出してみるが特に反応もない。そもそも産婦人科など入った事もないし、分娩室がどこにあるのかもわからなくて困っていたところで二階の方から何やら人の声が聞こえてきた。
恐る恐る廊下の奥を覗くと一室だけ明かりがついていたので、そこだろうと入ってみると義母の姿があった。
その部屋と室内でつながっているのが分娩室で、ヨメの頭が見えた。
少し前に分娩台にあがったばかりと聞いたので、義母と少し話をしていたら「はーい、生まれましたよー」という助産師さんの声に続いて「へ?」というヨメの拍子抜けしたような声。
少しして赤ん坊の泣き声。
ここまで書いてなんだけど、よく覚えてるな。。。って自分で思うくらい鮮明に覚えているし、思い出してるだけでもなんか目がウルウルしてくるほど、長女の産声に感動した。
少しの間、長女の頬や手をつついたり写真を撮ったり、ヨメと会話をしたりして、義母にお礼を言って病院を後にしコンビニで弁当を買って帰宅。
通常の面会時間になって改めて病院へ行くと、どうやらムスメは朝までずっと泣き続けてた(ヨメはその鳴き声や産後の痛みなどで寝れなかったらしいが、ムスメに付き添っていた助産師さんは熟睡してた)らしい。。。
他に入院中の人も新生児も居なくて、病室は貸切状態だったのは不思議な感じがした。
あれから13年が経ち、書ききれないくらいたくさんの出来事があったし、いろんな変化もあった。
そんな13年前の夜からのことを思い出しながら晩酌をしていたんだけど、お腹が空いたので冷蔵庫に残っていた生ラーメンを茹でて食べようなどと思いつき、湯切り用のザルを頭上の棚から取り出そうとしたところで重なっていた耐熱ガラスのボウルが落下。
そしてさすが酔っ払ってるだけあって、見事床に飛び散ったガラス片を踏みつける始末。
呆れながら怒りつつも掃除や手当をしてくれたヨメ、長女を産んでくれてありがとう。
そして長女、生まれてきてくれてありがとう。13年元気に育ってくれてありがとう。
これからもよろしく。